留学紹介

松宮 亘

Byers Eye Institute, Department of Ophthalmology, Stanford University  School of Medicine(2019.10.27-)その②

早いもので、渡米後1年が経過しました。
現在、私はスタンフォード大のByers Eye InstituteでPIのProf. Quan Dong Nguyen先生のもとvisiting fellowとして、
ぶどう膜炎診療や臨床研究、新規薬剤の臨床試験に従事しております。
ちょうどこの原稿を執筆している現在、スタンフォード界隈はクリスマスを目前にして、各家庭で思い思いのライトアップがされ、
街の人たちはコロナ禍で例年よりも小さめのホームパーティの準備にいそしんでいるようです。
我が家でも、昨年に引き続きモミの木を購入して、クリスマスツリーを装飾して楽しんでいます。

写真:我が家のクリスマスツリー2020

前回の留学便りでも触れておりますが、私が所属するByers Eye Instituteは眼科・耳鼻科に特化した専門病院で、
スタンフォード大敷地内にあるStanford Hospitalとは車で10-15分程度離れた場所にあります。
1年も経過しますと、最初に出会った仲間たちのほとんどは帰国し、いつのまにか古株になってしまっています。
私の日々の生活を改めて紹介しますと、月曜・水曜・金曜はNguyen先生の外来診療日で、
私たちFellowはNguyen先生の診察の前に、事前に患者さんの問診・診察を行って完璧にカルテを仕上げておく必要があります。
特にアメリカの診療の朝は早く、午前7時には患者さんが来院しているので、事前の準備のためにまだうす暗い街中を、自転車を漕いで病院に向かいます。

今では環境に慣れてずいぶんスムーズに準備を行えるようになりましたが、渡米当初は本当に苦労しました。
やはり重要なのは他のFellowやNurse、Technicianたちとしっかりコミュニケーションとって助けあって診療準備をすすめることで、
アメリカでも日本でも同じなんだと痛感しました。
今日に至るまでには、本当にたくさんの方々にすいぶんと迷惑をかけてしまいましたが。
診察後はImaging担当のFellowが研究用の画像データ取得のために追加画像検査を行います。
大学院生時代に眼底カメラ・造影やOCTなど、一通りの技術を教えていただきましたが、
ここに来てまたその経験を活用できるとは思ってもいませんでした。
特に研究のための画像取得には、疾患や研究の背景を理解したうえで、
患者さんの状態に応じて良くコミュニケーションをとって撮影する技術が求められます。
冗長気味になりましたが、1年経ってようやく納得の画像が撮れるようになりました。
神戸大学ではORTさんがきっちり画像を撮影してくれており、本当にありがたいことです。
火曜日の夕方には、3時間ほどのカンファレンスがあり、研究の進捗状況の発表や新たなプロジェクトのディスカッションを行います。
渡米当初は、「英語の暴風雨の中に傘も持たずにたたずんでいる」状況でしたが、現在はどうにか議論に参加できるようになりました。
またNguyen先生のチームでは、10近い新規薬剤の臨床試験が動いており、私もClinical trial coordinatorとしてもいくつかの治験を担当しています。
木曜日には治験の定期ミーテングがあります。

新規薬剤の可能性などを間近で確認することが出来る大変貴重な機会ですが、
一方で細かい作業も多く、日本ではCRCさんに任せきりであったことを反省しております。
Nguyen先生は、診療中は非常に厳しいのですが、ひとたびクリニックを離れるととてもフレンドリーで私たちのプライベートまでしっかりケアしてくれる素敵な先生です。
私は他の同僚と異なり(同僚は結構若手が多い。)家族を連れての留学でもあり、
少しでも遅くまで医局に残っていると「Wataru、何をしているの?早く帰りなさい。常によい父親でありなさい。」と声をかけて気にかけてくれます。
一度コロナ禍直後に遅くまで仕事をしていて、本気で注意されたことがありました。
もちろん、そのうえでしっかり仕事の要求もある訳ではありますが、
仕事に集中しすぎる私のバランスを取ってくれる重要な存在でもあります。

写真:医局にてNguyen先生(前列中央)の誕生日パーティー、
前列左が私。2020年7月
写真:医局で仲間たちと、中央が私。 2020年11月

2020年は日本と同様にアメリカも大きな変化を受け入れた1年でした。
3月にカリフォルニア州ではコロナウイルスに対する対策としてShelter in place Orderが発令され、
ベイエリアでも発令以降生活スタイルは大きく変化をしました。
当初は日本と同様に、パニックに伴う買い占めによりトイレットペーパーは供給不足に陥り、一時は食料品さえ品薄状況が続きました。
さらに小学校~大学までほとんどがOnline schoolとなりました。
幸い7月頃には様々な活動が再開され、公園で集まることが出来るようになったり、Outsideで外食も可能となり、限定的に学校も再開されました。
しかし12月には、また厳しいStay at home Orderが発令され、今も足踏み状況が続いています。

実は私たちのTeamも数ヶ月前にはコロナウイルスの影響で、10人ほどいたFellowが3名になりました。
しかも私を除く2名が大きな怪我をしてしまって、私一人で外来をカバーしていた期間が1-2ヶ月ほどあり、それはなかなか凄まじい経験でした。
今ではまた元のように、10人規模のメンバーに戻り、活気あるラボに戻っています。

一方で、コロナ禍においてもアウトドア活動の制限は少ないため、
週末になると家族と近所のTrailにハイキングに出かけ、時には身近に動物(鹿、牛、コヨーテも!!)を見ることも出来、自然と触れ合う楽しさを体感できました。
おかげで息子はトカゲ捕りの達人に成長し、「Park ranger」になるという夢も持つことが出来ました。
また連休などにまとまった休みがはいると、様々なNational parkを訪れアメリカの自然の雄大さを満喫することが出来ました。
特にYosemite National park(特にGlacier Point)とDeath Valley (特にUbehebe CraterとZabriskie Point )の素晴らしさは、筆舌に尽くしがたいものがあり、感動的でした。

写真:牛の歓迎!? on the trail in Sierra Vista Open Space Preserve
写真:Yosemite公園にて野生の鹿と

今年はコロナウイルス以外にも、「Black Lives Matter運動」や「カリフォルニアの山火事」、「Presidential election」など、
カリフォルニアやアメリカ全土を巻き込む大きな出来事がありました。
それでも無事1年を過ごせたことは、家族の存在や同僚たち、そしてサポートしてくれた方々のおかげで、深く感謝したいと思います。
アメリカ生活は残り6ヶ月、まだまだ多くの課題にも取り組む必要がありますが、
望むらくは少しでも早くコロナウイルスの影響が落ち着き、家族や友人たちと素晴らしい時間を共有できればと願っています。

最後になりましたが、私を留学に快く送り出し支えて下さっている中村誠教授はじめ神戸大眼科教室の先生方、
またNguyen先生との貴重な縁を繋いで下さった北海道大学の石田晋教授に改めて感謝申し上げます。
さらに神緑会会員の先生方ならびに神戸大学の先生方、日本アイバンク協会の方々には、
「神戸大学若手教員長期海外派遣制度」及び「公益財団法人 日本アイバンク協会海外研究助成」により御支援を頂いておりこの場をお借りして御礼申し上げます。

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